国外居住親族に係る扶養控除の改正
海外に住んでいる親族に関して、扶養控除の対象とする際に、
今までは、特に会社(年末調整の場合)や税務署(確定申告の場合)に提出する書類は特にありませんでした。
この為、外国人が日本で就業し、本国にいる親族を何人も扶養控除の対象としていたようです。
(なかには10人以上の人を扶養にしている事案も多数あったみたいです。)
海外にいる親族なので、そもそもその方が存在するかどうかも確認のしようがなく、
名前さえ、記載すれば実質無制限に扶養控除の対象とする事ができてしまっていました。
会計検査院の調査によると、所得金額が695万円未満の納税者が申告した国外扶養親族数は平均で8・9人、推計減税額は約20万円ですが、所得金額が1800万円以上の場合、それぞれ14・2人、約222万円でした。
平均で14.2人の扶養がいるなんて常識で考えられませんよね。
しかも、外国人の7割が所得ゼロ円としていたなんて、驚きです。
今回の改正では、
国外扶養親族については、2つの書類の提出を義務づけています。
①親族関係書類
・戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る。)
②送金関係書類
その年における次の①又は②の書類で、その非居住者である親族の生活費又は教育費に充てるためのその居住者からの支払が、必要の都度、行われたことを明らかにするものをいう。
① 金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
② いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類
の2点です。
ちなみに、この②の送金関係書類は、各人ごとに必要なので、
例えば、配偶者と息子さんが海外に住んでいて、配偶者に送金している場合には、
配偶者の関する送金関係書類はあるが、息子さんの送金関係書類はないので、
配偶者のみ扶養親族とすることでき、息子さんは扶養親族にはなりませんので、注意が必要です。