富裕層の課税逃れの封じ込め

ここ最近富裕層の課税逃れ(あくまでも合法的な節税)への封じ込めが話題となっています。

第一に「相続税逃れの5年ルールの改正」
資産を子や孫に承継する場合、日本の相続税や贈与税が課されないために海外に住む場合の最低居住期間が5年超必要
というルールがありました。
この為、富裕層(この場合は超富裕層中心)がシンガポールなどの贈与税、相続税のない国に移住していました。
この5年ルール改正を政府が検討しております。
村上ファンドの村上世彰氏や最近では与沢翼氏もシンガポールに居住しておりました。
資産を贈与税、相続税のない国に移し、親子ともども5年をその国で過ごした後、贈与を行えば、贈与税なしで資産のほとんどを次世代に残すことが可能となっています。

パナマ文書など、国際的に超富裕層への課税の問題は大きな話題になっている事も当局には追い風なのでしょう。


第二に「海外不動産の減価償却方法の見直し」
これはまだ決定などはしていませんが、会計検査院が海外中古不動産を用いた節税策について
問題視しているとのこと。
ハワイの物件に代表されるように、海外の不動産は日本と違い土地に比べて建物の価格の比率がとても大きいです。よく土地2割建物8割とも言われるくらいです。
このスキームは土地は費用にできませんが、建物は減価償却を通じて費用にできる点を利用します。
また、中古の建物の場合には中古の耐用年数を利用しますので、減価償却期間が短くなります。
会計検査院の調べでは耐用年数が4年のものが半数もあったそうです。
建物の価格÷4年が減価償却費として必要経費に算入されますので、当然大きな金額になります、
これにより、賃料収入より必要経費のが多くなり、赤字が発生して、他の所得と通算して税金を安くする事ができます。

この点について、会計検査院は見直しを求めています。
雑誌や、セミナーで節税効果をうたったものが多く登場していたので、目立ち過ぎたのでしょう。


第三に「タワーマンション節税の封じ込め」
これは相続税対策として有効でした。
相続税で不動産は相続税評価額というもの基に税金を計算します。
この相続税評価額がタワーマンション(特に上層階などのプレミアム物件)の場合には、購入価額に比べ著しく低いのです。
相続発生時に資産を現金で持っている場合にはその現金の金額が相続税の計算の基になりますが、
不動産は相続税評価額が基になるので、当然相続税は現金で持っている場合に比べタワーマンションを持ってる場合のが安くなります。

改正では、この不動産のうち建物の相続税評価額の計算の基になる固定資産税評価額を見直すとのことです。

これも雑誌や、セミナーで節税効果をうたったものが多く登場していたので、目立ち過ぎたのでしょう。


そのほか、国税庁による超富裕層PT(超富裕層の資産の動きなどを把握する為のプロジェクトチーム)の動き
相続税対策目的の持株会社方式の導入の否認事例など例をあげるときりがありません。