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税務署から突然の電話で「税務調査の事前通知」が来たら、多くの事業者が驚きと不安を感じるのではないでしょうか。「なぜ今なのか」「何を見られるのか」「どう対応すればいいのか」など、分からないことだらけで頭が真っ白になる人も少なくありません。
この記事では、事前通知を受けた直後にまずやるべきことから、日程調整・準備書類・調査当日の流れ・税理士への相談方法まで、初心者にも分かりやすく網羅的に解説します。正しい知識と準備があれば、税務調査は恐れる必要のないものです。
税務調査の事前通知とは?法律で定められた項目を確認
税務調査は、原則として事前に「通知」が行われます。これは、調査対象者に調査日程や対象範囲を伝えると同時に、調査への心構えと準備の時間を与える目的もあります。通知は原則電話で行われますが、法的にも明確にルールが定められているため、内容をしっかり把握することが重要です。
ここでは、通知の方法や例外、そして近年の法改正について解説します。
事前通知は電話が基本:税務署からの連絡にどう対応するか
例外的に、あらかじめ通知すると正確な調査が難しくなると考えられるケースでは、通知なく調査が行われる(無予告調査)こともありますが、一般的に税務調査の通知はまず税務署からの電話連絡からスタートします。突然の着信に驚くかもしれませんが、落ち着いて必要な情報を確認することが大切です。
電話等で伝えられる主な内容
- 調査を開始する日時
- 調査を行う場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目(所得税、法人税、消費税など)
- 調査担当者の氏名と所属官署 など
電話中はメモを取り、記録することを心がけましょう。不明点があれば、その場で確認しておくと後の混乱を防げます。
任意調査は原則として事前通知あり:法改正後のルールとは
税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります。通常の事業者に行われるのは、任意調査がほとんどで、これには原則として事前通知が義務づけられています。
これは、2011年の国税通則法の改正により明文化されました。調査対象者の権利を保護するためにも、税務署は以下の事項を事前に通知する必要があります。
法令で定められた事前通知の項目(国税通則法 第74条の9)
- 実地の調査を行う旨
- 調査を開始する日時
- 調査を行う場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目
- 調査の対象となる期間
- 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
このルールによって、税務調査が「抜き打ち」で始まるケースは基本的にはありません。
出典:国税庁「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
無予告調査(事前通知なし)が行われる例外ケースとは
一方で、例外的に事前通知が行われずに調査が始まるケースも存在します。これを「無予告調査」と呼び、次のような場合に認められています。
無予告調査が認められるケース
- 売上除外や帳簿の破棄など、証拠隠滅の可能性があるとき
- 調査前に関係者に接触されることで、事実解明が困難になると判断されたとき
- 調査の対象が脱税や悪質な無申告である場合
このような場合は、任意調査であっても通知義務が免除され、いきなり実地調査が行われることになります。ただし、これはあくまで特殊なケースであり、通常は事前通知があります。
事前通知が来たときにまず確認すべきこと
税務署から事前通知を受けたとき、ただ驚いているだけでは対応が遅れてしまいます。調査当日に向けた準備を円滑に進めるには、通知内容を正しく理解し、冷静に確認すべき情報を整理することが第一歩です。
ここでは、事前通知を受け取った直後にチェックすべきポイントと、調査官とのやり取りの注意点を詳しく解説します。
調査日時・場所・対象期間を必ず確認する
税務調査の通知で最も重要なのが、「いつ・どこで・何年分」について調査されるかという情報です。これらを正確に把握しないと、準備が不十分になり、調査当日に慌てることになりかねません。
確認すべき基本情報
- 調査開始日時:具体的な日時(例:○月○日 午前10時〜)
- 調査を行う場所:自社の事務所か、自宅か、あるいは税務署か
- 調査対象期間:通常は過去3年分ですが、必要に応じて5年、最大7年分となる場合があります
これらは調査準備に不可欠な情報ですので、漏れなく確認・記録しましょう。
調査官の氏名・所属・役職を確認する理由
税務調査では、調査官と直接やり取りすることになります。そのため、事前通知の時点で担当調査官の基本情報を確認しておくことが非常に重要です。
確認しておくべき調査官情報
- 氏名(フルネーム)
- 所属税務署の名称(例:新宿税務署)
- 役職(主査、調査官、統括官など)
- 同席する人数と役割分担(2名体制が多い)
これらの情報を把握しておくことで、後日トラブルが起きた場合にも記録が残り、言った・言わないのトラブルを防ぐ効果があります。また、税理士に相談する際にもスムーズに状況を伝えられます。
また、税理士が調査官情報を確認することで、ある程度調査の深度を予想することができます。
例えば、2~3年目の調査官が担当するのとベテランの調査官が担当するのとでは、調査の厳しさが全く異なります。
日程が不都合な場合の変更交渉の進め方
通知された日程がどうしても都合がつかない場合、正当な理由があれば調査日の変更は可能です。ただし、変更交渉には慎重な対応が求められます。
日程変更のポイント
- 変更の理由は具体的かつ明確に伝える(例:出張・不在・繁忙期など)
- 誠実に協力する意思があることを示す(無断キャンセルはNG)
- 変更希望日は、代替案を複数用意して提示するとスムーズ
【例文:日程変更の依頼】
「その日はあいにく出張が入っておりまして、誠に恐縮ですが日程のご調整をお願いできますでしょうか。翌週以降であれば、○日と○日が空いております。」
調査官も調整のプロですので、常識の範囲内での要望であれば柔軟に対応してくれます。
事前通知から実地調査までの流れとスケジュール

税務調査は「突然やって来る」と思われがちですが、国税通則法に基づき、任意調査の場合は原則として事前通知が行われます。通知から実地調査当日までには準備期間があるため、その間にやるべきことを順を追って進めることが重要です。
ここでは、事前通知から調査日当日までの一般的な流れと、税理士との連携ポイントを解説します。
事前通知から調査日までの一般的な期間
事前通知から実際の調査日までの期間に法律上の定めはありませんが、実務上は通知から2週間程度先の日程が提示されることが一般的です。ただし、これはあくまで打診であり、税理士との打ち合わせや準備のため、納税者側の都合を伝えて日程を調整することが可能です。
【通知から調査までの一般的なスケジュール】
| 日数 | 主な対応内容 |
| 通知当日〜翌日 | 法定通知事項の確認、顧問税理士への連絡、社内共有 |
| 通知から3日以内 | 税理士との打ち合わせ、必要書類の確認・準備開始 |
| 調査前日 | 書類の最終チェック、オフィス内の清掃・現金・金庫確認 |
| 調査当日 | 調査官の来訪対応、ヒアリング、帳簿提出 |
通知から調査日までの期間は限られているため、初動の早さが非常に重要です。
税理士との事前打ち合わせを行う
顧問税理士がいる場合、調査通知を受けたらすぐに連絡を取り、調査対策の打ち合わせを行うことが不可欠です。税理士には調査当日に同席してもらうことも可能で、法的な観点からのサポートだけでなく、精神的にも大きな支えになります。
打ち合わせで確認すべき内容
- 調査対象期間(通常は3事業年度分)の申告内容に問題がないか
※ただし、必要に応じて最大7年前まで遡及される可能性も念頭に置く - 準備すべき帳簿・証憑類の洗い出し
- 調査官に指摘されそうな会計処理や取引のリスクの事前把握
- 実地調査当日の流れと対応方法のシミュレーション
顧問税理士がいない場合は、このタイミングで税務調査対応を専門とする税理士にスポット(単発)での依頼を検討するのも有効な方法です。
調査当日の流れとヒアリングの内容を想定する
実地調査当日は、調査官が指定時間に訪問し、ヒアリング・帳簿確認・現物確認などが行われます。特にヒアリングでは、事業の概要や経理体制、会計処理の方針などが質問されるため、事前に代表者や経理担当者が回答を整理しておくことが重要です。
当日の主な流れ
- 調査官の身分証提示・挨拶
- 調査の目的・範囲・期間などの説明
- 代表者や経理担当者へのヒアリング(事業概況など)
- 帳簿・書類の閲覧・検討
- 現金・金庫・在庫などの現物確認(業種による)
想定される質問例
- 売上計上基準と記帳方法について教えてください。
- 現金管理の具体的な方法と責任者は誰ですか?
- 会計帳簿は誰が、どのように作成していますか?
- この申告内容は税理士が作成したものですか?
想定問答集を準備し、税理士とリハーサルしておくと、当日落ち着いて対応できるでしょう。
実地調査までに準備すべき書類と社内体制の整備

税務調査では、調査官が「書類」と「現場の状況」の両面から申告内容の正確性を確認します。そのため、書類の準備だけでなく、社内体制や現金・在庫の管理状況についても事前に整えておくことが重要です。
ここでは、実地調査までに揃えておきたい書類と、点検しておくべき社内環境のチェックポイントを具体的に紹介します。
法定保存書類を揃える:帳簿・領収書・請求書のチェックリスト
税務調査では、法律で保存が義務づけられている帳簿類の提出が求められます。保存期間は基本的に7年間(法人税法・所得税法による)であり、調査官はこの範囲で書類の整合性を確認します。
【保存が必要な書類のチェックリスト】
- 総勘定元帳:取引の全体像を把握する資料
- 現金出納帳:現金管理の実態を確認する資料
- 売上帳・仕入帳:売上・仕入の計上根拠
- 領収書・請求書:支払・収入の証明資料
- 預金通帳コピー:資金の流れを確認するため
- 契約書・見積書:取引の内容確認に使用
また、青色申告法人で欠損金(赤字)が生じた事業年度については、その帳簿書類の保存期間が10年間となります(法人税法施行規則)。これは、繰越控除の適用を受けるために、その欠損金が生じた事実を証明する必要があるためです。
帳簿と証憑の整合性がしっかり取れていることが求められます。
過去3〜5年分の申告書と決算書を用意する
調査対象期間は通常「過去3年間」ですが、内容によっては5年、悪質な場合は7年まで遡ることもあります。過去の申告書類一式をまとめて確認できるように準備しておきましょう。
準備すべき申告関係書類
- 所得税/法人税の申告書(別表含む)
- 消費税申告書(簡易課税・原則課税の確認)
- 確定申告書の控え(個人事業主の場合)
- 決算書(損益計算書・貸借対照表)
- 勘定科目内訳明細書・固定資産台帳など
メールで受け取った請求書やWebサイトからダウンロードした領収書などの電子取引データは、原則として紙に出力して保存することが認められず、法令の要件に従って電子データのまま保存する必要があります。調査官の求めに応じて速やかにデータを提示・提出できるよう、自社の保存方法を事前に確認しておくことが重要です。
事業概要・組織図・業務フローを整理しておく
ヒアリング対応や帳簿確認をスムーズに進めるために、会社の基本情報や業務内容を一目で把握できる資料を用意しておくと有利です。調査官が業務実態を把握しやすくなるため、質問が簡略化され、調査時間の短縮にもつながります。
用意しておきたい社内資料
- 会社・事業の概要資料(業種・事業内容・拠点など)
- 組織図(部門や役職の明確化)
- 経理・業務のフロー図(売上〜入金、仕入〜支払いの流れ)
- 担当者一覧(経理・営業・現場担当など)
税務調査の目的は、「帳簿と実態が一致しているか」を確認することです。そのため、こうした事業概要の可視化が、調査官の理解を助けます。
在庫・現金・金庫の確認:オフィス内の事前点検
調査当日は、書類だけでなく、現場の状況(現金残高、在庫数量、金庫の管理状態など)もチェックされる可能性があります。帳簿上の数字と実物の整合性が合っていないと、不信感を招く要因となります。
点検すべき項目と対策
- 現金残高:現金出納帳の残高と実際の現金が一致しているか
- 在庫数量:帳簿上の在庫と物理在庫の照合(棚卸表があると良い)
- 金庫・保管庫:誰が管理しているか、管理記録があるか
- 備品・設備:固定資産台帳と照らして不整合がないか
こうした実物管理も、帳簿の信憑性を高める要素の一つです。調査官に「きちんと管理されている会社」と認識されることが、調査の進行を円滑にするコツです。
税理士への依頼を検討すべきケースと選び方
税務調査の事前通知を受けた段階で、「税理士に依頼すべきかどうか」で悩む方は非常に多いです。結論から言うと、調査内容や自社の状況によっては、税理士の関与が結果を大きく左右します。
ここでは、税理士なしで臨むリスク、事前通知後でも可能な依頼方法、そして税務調査に強い税理士の選び方を解説します。
税理士なしで税務調査に臨むリスクとは
税理士を付けずに税務調査に対応すること自体は可能ですが、不利な状況を招きやすいのが実情です。特に初めての税務調査では、調査官の質問意図を正確に理解できず、不要な説明をしてしまうケースが少なくありません。
税理士なしの場合に起こりやすいリスク
- 聞かれていないことまで説明してしまう
- 税法上の解釈を誤って回答してしまう
- 指摘事項に対して適切な反論ができない
- 修正申告が必要かどうかの判断を誤る
これらは結果として、本来であれば納める必要のなかった追徴課税につながる可能性があります。具体的には、本来の税額との差額に加えて、過少申告加算税や、悪質なケースでは重加算税、さらに納付が遅れたことによる延滞税などが課されることになります。
調査官は税務のプロであり、知識量や経験には大きな差があることをしっかり理解しておきましょう。
事前通知後でも依頼可能:スポット契約の活用法
「顧問税理士がいない」「顧問はいるが税務調査に強くない」という場合でも、事前通知を受けた後から税理士に依頼することは十分可能です。その際に活用されるのが、税務調査対応に限定したスポット契約です。
スポット契約で依頼できる主な内容
- 事前打ち合わせによるリスク洗い出し
- 調査当日の立ち会い
- 調査官との質疑応答のサポート
- 修正申告が必要な場合の対応
スポット契約であっても、調査当日の対応力は顧問契約と大きく変わりません。むしろ、税務調査を専門的に扱う税理士であれば、的確な助言が期待できます。
特に通常の税理士であれば一般的に年間の調査対応件数は0~1件といわれています。調査専門税理士では年間数十~数百件は対応しているため経験値に圧倒的に差があります。
税務調査に強い税理士の選び方
税理士であれば誰でも税務調査に強いわけではありません。調査対応の経験値や専門性には大きな差があります。依頼先を選ぶ際は、以下のポイントを意識すると失敗を避けやすくなります。
税務調査に強い税理士の特徴
- 税務調査の立ち会い実績が豊富
- 国税出身者や調査対応専門のチームがある
- 修正申告・更正処分への対応経験がある
- 調査官とのやり取りを任せられる説明力・交渉力がある
- 中小企業や個人事業主など、自社の事業領域での対応実績が多い
単に「申告書を作る税理士」ではなく、「税務署対応に慣れている税理士」を選ぶことが重要です。事前通知を受けた段階で相談すれば、調査全体の流れを見据えた戦略的な対応が可能になります。
税務調査当日の対応ポイントと注意すべき質問
税務調査当日は、調査官とのやり取りが中心になります。ここでの対応次第で、調査全体の進行や、最終的な指摘内容に大きな差が出ることも珍しくありません。初めての方でも焦らず対応できるよう、当日の基本的な姿勢や答え方のコツ、注意すべきポイントを押さえておきましょう。
調査官への回答の基本原則:「聞かれたことだけ答える」が鉄則
税務調査で最も重要なのは、調査官の質問に対して必要最低限の回答を行うことです。「聞かれていないことまで答える」のは、誤解や無用な疑いを招く原因になります。
回答時のポイント
- 質問に対して簡潔・正確に答える
- 主観的な意見や推測は避ける(例:「多分こうだったと思います」)
- 根拠資料(帳簿・領収書など)を示して説明する
- 話を広げすぎない
悪気のない説明でも、調査官に誤った理解をされてしまうケースがあるため注意が必要です。
不明点や安易な即答は避け、確認の上で回答する
質問の意図が不明な場合や、事実確認が必要な事項について、焦ってその場で推測や記憶を元に回答することは危険です。
対応方法の例
- 「その件については、正確を期すために関連資料を確認した上で、後日ご回答いたします。」
- 「ただ今の御指摘については、当方の見解を整理し、税理士と相談の上で改めてご説明させてください。」
税務調査においても、納税者が調査担当者に質問の趣旨の説明を求める権利や、税理士に相談する権利を認めています。安易な即答はせず、慎重に対応することが必要です。
やり取りを記録する:議事録作成の重要性
調査中のやり取りや指摘内容について、議事録を自分でも作成しておくこともときに重要です。後日、誤解やトラブルが生じた際に、記録が役立ちます。
記録すべき内容
- 調査官の発言内容や質問
- 回答した内容
- 指摘された帳簿や書類
- 調査官の反応や態度
可能であれば、税理士と2人体制で記録を残すと、より正確な記録が取れます。納税者側でやり取りを記録することに、調査官の許可は法的に不要です。ただし、円滑な調査の雰囲気を作るため「記録を取らせていただきます」と一言断りを入れるのが丁寧な対応です。
社内の協力体制を整える:専門家を含めた役割分担
調査当日は、経理担当者や代表者が対応することになりますが、役割分担を明確にしておくことがトラブル防止につながります。
役割の一例
| 担当者 | 主な役割 |
| 経理担当者 | 事実関係の説明: 帳簿や証憑に基づき、日々の取引の具体的な処理方法を説明する |
| 代表者(社長) | 経営判断の説明: 事業全体の意思決定、取引先との契約経緯、資金繰りの方針など、経営者として判断した事項を説明する |
| 税理士 | 納税者の代理・交渉: 法的な観点から納税者の権利を守り、不当な質問や指摘に対して意見を述べる。調査官との交渉や、専門的な税法解釈の説明を行う |
国税通則法では、税理士は納税者の「代理人」として税務調査に立ち会うことが認められています。「補助」という受け身の役割だけでなく、納税者の正当な利益を守るために積極的に交渉や意見陳述を行う重要な役割を担います。
税務調査終了後の対応:修正申告と追徴課税について
調査の結果、申告内容に誤りや不備があった場合、修正申告や追加納税が必要になります。
ここでは、税務調査後に必要な対応や、追徴課税の内訳、そして調査結果に納得できないときの対処法まで、重要なポイントを解説します。
指摘事項があった場合の修正申告の流れ
調査の終了後、税務署から「指摘事項」が口頭または文書で伝えられます。その内容をもとに、必要があれば修正申告を行い、追加納税を済ませることになります。
修正申告の基本フロー
- 税務署から調査結果の説明
- 税理士または本人が内容を確認
- 修正が必要な年度・税目を特定
- 申告書を作成し、税務署に提出
- 不足分の税金を納付
加算税・延滞税の種類と計算方法
税務調査で誤りが指摘され、追加の納税が必要になると、「本税」に加えて「加算税」や「延滞税」といったペナルティが課されます。
【主な追徴課税の種類と内容】
| 種類 | 内容 | 税率(調査後) |
| 過少申告加算税 | 申告額が本来より少なかった場合に課される | ・追加税額の10% ・追加税額が当初の申告税額と50万円のいずれか多い方を超過した部分は15% |
| 無申告加算税 | 期限内に申告しなかった場合に課される | ・納付税額の15% ・50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30% |
| 重加算税 | 意図的な隠蔽や仮装行為があった場合に課される、最も重い加算税 | ・過少申告の場合:35% ・無申告の場合:40%(5年以内に前歴がある場合などは+10%) |
| 延滞税 | 税金の納付が遅れた場合に課される利息に相当するもの | ・納期限の翌日から2か月間は「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い方 ・2か月経過後は「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い方 ※特例基準割合は毎年変動 |
指摘事項に納得できない場合の対処法
税務調査の結果に納得がいかない場合には修正申告をせずに更正・決定処分を受けるという選択もあります。さらに、その処分に対して不服を申し立てる権利があります。現在の制度では、主に以下の手段が用意されています。
対応手段
- 再調査の請求:まず、処分を行った税務署長などに対して、処分の再検討を求めることができます。これは納税者の選択による手続きです。
- 審査請求:国税不服審判所長に対し、処分の取消しや変更を求めることができます。再調査の請求を経ずに、直接審査請求を行うことも可能です。
- 訴訟:審査請求に対する裁決にも不服がある場合、最終的に裁判所へ訴訟を提起することができます。
これらの請求は、原則として処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に行う必要があります。手続きには専門的な知識が不可欠なため、必ず税理士などの専門家に相談しましょう。
注意点として、税務署の指摘内容に納得して自ら「修正申告」を行った場合、その申告内容について後から不服を申し立てることは原則としてできません。ここで紹介している「再調査の請求」や「審査請求」は、あくまで税務署が職権で行う「更正」や「決定」という処分に対して不服がある場合に利用できる制度です。
ただし、不服申立てにより納税者の主張が認められる可能性は低いのが実情です。そのため、調査官の指摘内容に対して客観的・合理的に反論できる場合でない限り認められるケースはないといえます。
まとめ:税務調査の事前通知は冷静な対応が重要

税務調査の事前通知を受けたとき、専門知識が少ない方なら不安を抱くのも仕方のないことです。しかし、通知を受けた時点で正しく情報を把握し、冷静に対応すれば、過度に恐れる必要はありません。
この記事では、事前通知の内容確認から始まり、調査日程の調整、準備すべき書類、当日の対応、調査後の修正申告まで、税務調査全体の流れを段階ごとに詳しく解説しました。
大切なのは、焦らずに行動し、必要に応じて専門家に相談することです。税務調査に不慣れなまま一人で対応しようとすると、ミスや誤解を招きやすく、余計な追徴課税や不利な結果につながる可能性が高いといえます。
特に、税務署とのやり取りや修正申告に不安がある場合は、税務調査に精通した税理士のサポートを受けることも有効です。事前に『税務代理権限証書』を税務署に提出することで、調査の日程調整や質問への対応などを税理士が窓口となって行うことが可能です。
専門家が立ち会うことで、法的な観点から納税者の権利を守りつつ、調査官の指摘に対して的確な主張や交渉を行うことができるようになるでしょう。
税務調査への不安や対応にお困りの方には、税務調査対応に特化した税理士法人GNsへご相談ください。初めての調査でも安心して相談できるプロフェッショナルが対応いたします。
