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税務調査の立会は税理士以外でも可能?認められる範囲と注意点

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税務調査の通知を受け、「一人では不安だ」と感じる方は少なくありません。ご家族や従業員にそばにいてほしいと思うのは自然なことですが、その関わり方には「立会」と「同席」という明確な違いがあり、誰でも自由に調査へ関与できるわけではないのです。

税理士の独占業務である「立会」と、事実関係の説明にとどまる「同席」。税理士ではない家族や従業員は、どこまでなら調査に関与できるのでしょうか?

本記事では、その法的な境界線と注意点をわかりやすく解説し、あなたの不安を解消します。

税務調査の「立会」と「同席」の決定的な違い

税務調査の現場では、「立会」と「同席」が混同されがちですが、この2つには明確な法的・実務的な違いがあります。ここでは、その違いを理解することで、誰が何をできるのかを整理しましょう。

立会=税務代理(納税者に代わって主張・交渉できる)

「立会」とは、税務代理人として納税者の代理で税務調査官とのやり取りを行う行為です。この役割を担えるのは、原則として、税理士法に定められた税務代理権限を持つ税理士、および所定の手続きを行った弁護士に限られます。

立会人は以下のような権限を持ちます。

  • 調査官からの質問に代理で回答する
  • 申告内容や取引の正当性を主張する
  • 修正申告や更正に対する交渉を行う

税務調査においては法律で認められた資格者以外が立会(税務代理)をすることは認められていません

同席=補助的参加(事実関係の説明に留まり、主張・交渉は不可)

「同席」は、あくまで補助的な立場で調査現場に居合わせることを指します。例えば、経理担当者や家族が同席し、調査官からの質問に対して事実関係を説明するなどがこれに当たります。

同席者は代理人ではないため、以下の点に留意が必要です。

  • 納税者の代理として主張・交渉・判断をする権限はない
  • 調査官からの質問に事実のみ答える立場である

納税者本人の代わりに法的な判断を下すことや、税務上の主張を展開することは、税理士法に規定する税務代理行為にあたるため認められていません

立会(税務代理)ができる資格者

税務調査における正式な「立会人」として税務代理を行うには、法律に基づく権限が必要です。

  • 税理士:税理士法に基づき、固有の業務として税務代理が認められています。
  • 弁護士:税理士法第51条に基づき、所属弁護士会を通じて国税局長に通知することで、税理士業務(税務代理を含む)を行うことができます。
  • その他の士業:税務代理権限は認められていません。
  • 家族や従業員:原則として「同席」の範囲に限られます。

税務代理権限を有していない者が、本人に代わって税務署との交渉や主張を行った場合、税理士法違反(非税理士による税理士業務の禁止)となる可能性があります。税務調査に専門家を関与させる際には、その役割と権限の違いを正確に把握することが重要です。

税理士以外が税務調査に参加できる条件と範囲

税務調査に税理士以外が関与できるのか気になる方は多いと思います。結論から言えば、同席は条件付きで可能でも、立会は基本的に税理士のみが対応できるというルールがあります。具体的に誰がどういう範囲で関与できるのかを、以下の表で整理します。

関与者の種類同席の可否立会の可否主な役割と注意点
税理士(税務代理権限あり)納税者に代わって交渉・主張・修正申告が可能。税務代理権限証書の提出が必要。
弁護士(税務代理権限なし)△(要同意)×事実関係を述べることは可能だが、税務代理にあたる交渉や主張は不可。
家族・親族○(条件付)×経理関与があれば、調査官の許可により同席可能。発言は事実説明に限られる。守秘義務への配慮が必要。
経理担当・従業員○(条件付)×帳簿や処理内容の説明が主な役割。税務的判断や主張は不可。事前承認が必要。
記帳代行業者△(調査官の判断)×業務委託先として同席できる場合もあるが、税務代理や主張はできない。事前承認が必要。

このように、立会と同席は明確に分けて考える必要があります。誤った理解で調査に臨むと、法的な問題に発展したり、調査が円滑に進まなくなったりする可能性も出てきます。事前に誰を同席させるかをしっかり確認し、調査官と丁寧に調整することが重要です。

誰でも自由に参加できるわけではなく、調査官の判断や守秘義務との関係も大きく影響します。

家族や従業員は「同席」が認められる場合がある

納税者本人の家族や従業員については、一定の条件を満たせば税務調査への同席が認められることがあります。特に、実務を把握している人物であれば、調査を円滑に進める目的で同席が許可されるケースがあります。

同席が認められやすい例

  • 経理や会計を日常的に担当している従業員
  • 家族経営で、帳簿管理を担っている配偶者
  • 取引内容を具体的に説明できる現場責任者

ただし、同席者は調査官からの質問に事実を答える立場に限られます。税務上の解釈を述べたり、納税者の代わりに判断を示したりすることはできません。

記帳補助者(経理担当・記帳代行業者)の同席条件

社内の経理担当者や、外部の記帳代行業者が同席するケースもあります。この場合も立場は同席であり、帳簿作成の経緯や記帳方法を説明する役割に限定されます。

注意すべきポイント

  • 税務署との交渉や主張はできない
  • 税額計算の妥当性を判断する立場ではない
  • 事前に調査官の了承を得ておく必要がある

特に外部の記帳代行業者については、守秘義務の観点から、調査官が同席を認めないケースもあります。事前確認は必須です。

弁護士は税務代理権限がなければ立会不可

「顧問弁護士に立ち会ってもらえないか」と考える方もいますが、弁護士であっても税務代理権限がなければ税務調査の立会はできません。

税務調査の立会は「税務代理」という行為にあたり、これは税理士法によって税理士の「独占業務」と定められているためです。

  • 弁護士は法律全般の専門家
  • 税務代理は税理士の独占業務
  • 弁護士は同席者としての参加にとどまる

最終判断は調査官の守秘義務判断による

税理士以外の同席が可能かどうかは、最終的には調査官の判断に委ねられます。その判断基準となるのが「守秘義務」です。

調査官が重視する点

  • 同席者が業務上、情報を知る立場にあるか
  • 納税者の同意が明確か
  • 不要な第三者への情報漏洩リスクがないか

このため、同席を希望する場合は、事前に調査官へ役割と理由を説明し、了承を得ることが不可欠です。無断で第三者を同席させると、調査が中断されたり、不必要な質疑が増えたりする可能性があります。

税理士以外に立会を任せる場合の法的リスク

「税理士に依頼せず、別の人に立ち会ってもらえないか」と考えた場合、見落としてはいけないのが法的リスクです。税務調査は単なる立ち会いではなく、税法に基づく判断ややり取りが伴います。

税理士以外に立会を任せようとすると、納税者本人にも不利益が及ぶ可能性があります。ここでは、特に注意すべき3つのリスクを解説します。

税理士法違反のリスク:無資格での税務代理は違法

税務調査で調査官とやり取りし、納税者に代わって主張や交渉を行うことは税理士法第2条に規定される「税務代理」行為に該当し、税理士の独占業務です 。税理士資格のない者がこの行為を行うと税理士法第52条(税理士業務の制限)に違反し、同法第59条の罰則(2年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科される可能性があります。

違法行為を依頼した納税者自身も、調査官から説明責任を厳しく問われるなど、調査が不利に進むリスクが高まります。「少し話すだけ」「代わりに説明するだけ」といった軽い気持ちでも、内容によっては違法行為とみなされる点には注意が必要です。

守秘義務違反と情報漏洩の可能性

税務調査では、売上、利益、取引先、個人情報など、極めて機密性の高い情報が開示されます。税理士には、税理士法第38条によって厳格な守秘義務が課されており、違反した場合は罰則も定められています 。この義務は、税理士を辞めた後も生涯続きます 。しかし、税理士以外の第三者には、このような法律上の義務はなく、情報管理の点で重大なリスクを伴います。

想定されるリスク

  • 社内外への情報流出
  • 取引先や従業員との信頼関係の悪化
  • 不要なトラブルや誤解の発生

特に、外部の知人や業務委託先を同席させる場合には、情報管理の観点からも慎重な判断が必要です。

専門知識不足による不利な結果のリスク

税務調査では、調査官の質問一つひとつに税法上の意味や背景があります。専門知識が不足していると、意図せず不利な発言をしてしまうことがあります。

よくある失敗例

  • 不要な説明をして論点を広げてしまう
  • 推測や曖昧な回答で疑念を深めてしまう
  • 本来主張できた点を見逃してしまう

その結果、修正申告の範囲が広がったり、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが重くなったりするケースもあります 。税務調査は、法律と事実に基づく交渉の場でもあり、専門知識の不足が直接金銭的な不利益につながる最大のリスクと言っても過言ではありません。

税理士以外が税務調査に「同席」する場合の事前準備と当日の注意点

税理士以外の人物が税務調査に「同席」すること自体は可能ですが、その役割と権限を正しく理解せずに臨むと、調査が不利になったり、意図せず法律違反となったりする可能性があります。

税理士の行う「立会い(税務代理)」と、経理担当者などが行う「同席」は明確に異なります。同席者ができること・できないことを理解し、当日に混乱を招かないよう対策を講じることが重要です。

ここでは、同席者がいる場合の具体的な事前準備と当日の注意点を、関連法規を交えて解説します。

同席者の役割範囲を事前に調査官と共有する

税務調査に税理士以外の人物が同席する場合は、事前にその旨を税務署の担当調査官へ連絡し、許可を得ておくことが円滑な調査進行のために事実上不可欠です。

調査官には国家公務員法や国税通則法に基づく厳格な守秘義務があるため、納税者本人以外の第三者がいる場では、その身元や関係性を確認しない限り調査を進めることができません 。

事前連絡のポイント

  • 同席者の氏名と納税者との関係性(家族、経理担当従業員など)
  • 同席の目的(例:「経理処理の事実関係について説明するため」)
  • 同席者が事実関係の説明に徹し、税務上の判断や交渉は行わないことの確認

このプロセスを省略すると、当日に調査官から同席を拒否されたり、調査が中断したりする恐れがあります。調査官との信頼関係を築く上でも、誠実な事前連絡が極めて重要です。

帳簿書類の整理と説明ポイントの事前整理

調査当日は、帳簿や領収書、契約書など、さまざまな書類を提示する必要があります。同席者が経理担当者や事務スタッフである場合、事前に内容を把握しておくことがスムーズな対応につながります。

準備すべき内容

  • 会計ソフトや帳簿の操作方法
  • 年度ごとの売上・経費の概要
  • 特に確認されやすい取引や仕訳の説明ポイント
  • 領収書・請求書との整合性確認

税務署の調査は、事実関係と整合性の確認が主な目的です。対応者が資料の所在を把握しておくだけでも、調査がスムーズに進みます。

許される発言範囲を理解し、税理士法違反を避ける

同席者が税理士でない以上、その発言は「事実関係の説明」に厳格に限定されます。これを超えて税務上の解釈や法律判断を示したり、納税者の代理として主張・交渉したりする行為は、税理士法違反(第52条違反)とみなされる可能性があります 。

税理士法違反となりうる具体的な発言例

  • 「(この支出は)事業に関連するので経費になります」と税法上の判断を断定する
  • 「当社のこの会計処理方法は、税法上も正しい」と解釈を主張する
  • 「修正申告に応じる必要はないと考えます」と納税者の代理として交渉・主張する

これらの行為は、税理士の独占業務である「税務代理」や「税務相談」にあたります 。たとえ長年の経験を持つ経理担当者であっても、税務上の解釈や交渉は納税者本人、または税務代理人である税理士にしか認められていません。

同席者の役割は、あくまで「いつ、誰が、何のために、いくら支払ったか」といった客観的な事実を説明することにとどめる必要があります。

税務調査に立会える税理士の選び方

税務調査の対応で最も安心できるのは、信頼できる税理士に立会を依頼することです。しかし、すべての税理士が税務調査の現場に強いわけではなく、選び方を誤ると、十分な対応が受けられない可能性もあります。ここでは、調査に強い税理士を見極めるための具体的なポイントを解説します。

税務代理権限証書の提出が必須条件

税務調査で税理士が正式な代理人として立ち会うには、税理士法で定められた「税務代理権限証書」の提出が必要です。これは税務署に対して、「この税理士が納税者の正式な代理人です」と証明する重要な書類です。

重要なポイント

  • 税理士が納税者の代理人として法的な権限を持つ証明となる
  • 提出がないと、税理士であっても税務調査への関与は認められない
  • 税理士法第34条に基づき、税務署はこの証書が提出されている税理士に対し、調査の日時や場所などを事前に通知する義務がある。これにより、税理士は十分な事前準備を行うことができる
  • 調査対応や交渉がスムーズに進まなくなるリスクもある

依頼する税理士には、税務代理権限証書を確実に提出してもらえるか必ず確認しましょう。

調査立会実績と交渉力を確認する

税理士の中には、税務申告の経験は豊富でも、調査対応には不慣れな人が多いのが実情です。実際に、顧問業務を中心に行っている税理士は顧問先の税務調査のみ対応するのが通常であり、年間対応件数は0~1,2件程度に留まります。税務調査の立会には、調査経験をはじめ独自の交渉力や現場対応力が求められるため、以下のような実績を確認すると安心です。

チェックすべきポイント

  • 過去に税務調査の立会を何件くらい経験しているか
  • 加算税や重加算税を軽減した実績があるか
  • 調査官との対応における戦略的な考え方を持っているか
  • 調査後の是正・修正対応も一貫して行ってくれるか

調査官とのやり取りは、法律だけでなく、現場での駆け引きや経験も大きく影響します。初回の相談時に、過去の具体的な調査対応事例や、どのような方針で交渉に臨むかなどを質問し、納得のいく説明が得られるかを確認することが重要です。

単なる申告業務メインの税理士ではなく、「調査に強い税理士」を選ぶことが、最善の結果につながります。

税理士に立会を依頼するメリット

税務調査は、単なる書類確認ではなく、調査官との会話・交渉を通じて進行する高度なやり取りです。そのため、専門知識と経験を持つ税理士に立会を依頼することには多くのメリットがあります。ここでは、税理士に立会を依頼することで得られる具体的な利点を紹介します。

専門知識による適切な主張と交渉

税務調査では、調査官からの質問に対し、法的根拠を持った説明や反論が必要な場面が数多くあります。税理士であれば、税法や通達、過去の判例に基づいて、納税者にとって有利な主張が可能です。

税理士の交渉力が活きる場面

  • 経費の計上可否に関する判断
  • 売上除外や仮装・隠蔽と誤解されかねない処理への説明
  • 加算税の適用区分に関する交渉や意見陳述

税理士がいることで、納税者本人では難しい専門的な説明や交渉が可能となり、調査の不安や負担を大きく軽減できます。

修正申告や追徴課税のリスク軽減

税務調査の結果、申告ミスや認識の違いが発覚することは珍しくありません。その場で適切に対応できないと、過大な追徴課税や重加算税を課されるリスクが高まります。

税理士が対応できること

  • 調査結果に基づいた正確な修正申告
  • 加算税や延滞税の計算根拠の精査
  • 過去の申告内容から妥当性を主張し、税額軽減を狙う対応

調査官に一方的に進められるのではなく、納税者側にも専門的なサポート役がいることで、公平な調査が実現しやすくなります。

今後の税務対策まで一貫してサポート

税務調査は一時的なイベントではなく、事業の税務リスクを見直すきっかけでもあります。調査後に同様の指摘を繰り返さないためには、根本的な税務体制の見直しが必要です。

税理士ならではのサポート内容

  • 調査結果を踏まえた帳簿・記帳の改善指導
  • 経費処理の明確化とルール整備
  • 将来の節税や適正申告に向けた年間の税務戦略の立案

調査の立会からその後の税務顧問業務まで、一貫して任せられるのは税理士ならではの強みです。

まとめ

税務調査は、事業者にとって避けて通れない局面ですが、対応次第で結果に大きな差が出ることも事実です。税務調査における「立会」と「同席」の違いを理解し、税理士以外がどこまで関与できるかを正しく把握しておくことは、リスク回避に直結します。

「立会」が認められるのは原則として税理士のみであり、それ以外の人物は補助的な「同席」にとどまります。税理士資格のない者が立会を装って対応することは、税理士法違反や調査妨害と見なされるリスクもあり、慎重な判断が求められます。

税理士に立会を依頼することで、法的に認められた代理権限をもって、調査官との交渉や主張が可能となり、追徴課税や重加算税のリスク軽減、そして将来的な税務対策まで一貫して支援してもらえるのは大きなメリットです。

税務調査の対応に不安がある方は、調査対応に強い税理士に早めに相談することが、安心と結果の分かれ道になるでしょう。

税務調査の立会でお悩みの方は、税務調査に特化した専門家である「税理士法人GNs」に相談してみてはいかがでしょうか。経験豊富な税理士が、あなたの状況に合わせた的確な対応で、調査対応からその後のフォローまで徹底サポートしてくれます。