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税務調査で調査官は一人で来る?調査官の人数・役職や対応方法を解説

税務 調査 一人 で 来る

目次

ある日突然、税務署から税務調査の通知がきたら、多くの方が驚きや不安を感じるでしょう。事前に訪問する人数も知らされますが、場合によっては調査官一人でくる場合もあります。「一人ってことは軽い調査?それとも本格的なものなのか?」と状況の見極めがつかず、混乱してしまう人も少なくありません。

この記事では、税務調査で調査官が一人で来る場合と複数で来る場合の違いや、役職によって異なる調査のレベル、さらには訪問時の対応方法やプライバシーの守り方まで詳しく解説します。

突然の税務調査にも冷静に対応できるよう、調査官の立場や行動を読み解く視点と、税理士と連携した正しい準備と対応の流れを知り、調査を安心して乗り切れる自信につなげましょう。

税務調査で来る調査官の人数を理解しよう

税務調査に来る調査官の人数や構成には意味があり、調査の目的や深刻度をある程度見極める手がかりになります。特に、1人で訪問する場合と複数人で来る場合では、調査の性質や想定されているリスクが異なるため、落ち着いて状況を見極めることが大切です。

一人で来るのは軽微な調査の可能性が高い

税務署の調査官が一人で来る場合、それは多くの場合軽微な調査である可能性が高いです。

調査官が一人で来る調査の例

  • 申告内容に軽微な疑問があり、帳簿や証憑を確認したい場合
  • 売上や経費の一部だけ確認したい場合(たとえば副業の収入など)
  • 事業規模が小さい、または過去に大きな問題がなかったケース

ただし、「一人だから軽い」と安心してはいけません。内容次第では、後日複数人での本格的な調査に発展することもあります。

複数人で来るときは本格的な調査や脱税疑いのケース

調査官が2人、3人以上で来る場合は、税務署側が現場での本格的な確認を行う意思が強いと考えられます

複数人での訪問は、一人が帳簿を確認し、もう一人がパソコンや在庫・現金等をチェックするなど役割を分担して調査が行われるため、より詳細かつ迅速に進行します。

調査官の人数を見れば、税務署側の「調査の本気度」がある程度分かるのです。

ただし、調査官が経験年数の浅い「事務官」である場合は上長と2人で来ることもあります。これは事務官の指導も含まれているため、軽微な調査の可能性が高いといえます。

調査官の役職で調査のレベルを見分ける

税務調査に対応する際に重要なのは、調査官の人数だけでなく、その「役職や所属部署」を確認することです。調査官の肩書きから、調査がどれほど本格的か、または形式的な確認レベルなのかを見極めるヒントが得られます。

ここでは、調査官の役職によって異なる調査の深度について整理しておきましょう。

事務官は軽微な事案担当が中心

調査官が「事務官」と名乗った場合、税務署内では年数が浅い職員である可能性が高いです。

この場合、軽微な事案と判断され、深刻な脱税を疑っているケースではない可能性が高いですが、経験が浅くてもすぐ分かるような露骨な不正がある事案などに派遣される場合もあります。

国税調査官・上席国税調査官は本格的な税務調査を指揮

「国税調査官」「上席国税調査官」は、税務調査において現場で実際に調査を行う中核メンバーです。上席がついている場合は、国税調査官より経験値があり、調査能力が高い場合が多いです。

役職内容
国税調査官実務担当。帳簿や現場確認などを行う
上席国税調査官チームリーダー格。調査の全体指揮や判断を担当

このレベルの調査官が来る場合、調査を本格的に行いたい場合と捉えてよく、事前準備や税理士の立ち会いを必ず検討すべきです。

国税局職員が同行している場合は重加算税を想定した高リスク調査

さらに注意すべきは、「国税局」所属の職員が調査に同行している場合です。これは通常の税務署では扱えないような高度で悪質な脱税疑いがある場合が多いです。

特徴と背景

  • 高額・組織的な脱税の疑いがある
  • 取引規模や会社の規模が大きい
  • 複数の反面調査を伴う複雑な案件

このようなケースでは、重加算税だけでなく刑事告発のリスクすらあるため、税理士だけでなく弁護士との連携も必要になることがあります。

特に、国税局の査察部による強制調査の場合、刑事告発の目的もあることから特に注意しましょう。

税務調査で確認されやすいポイント

税務調査が始まると、調査官はただ資料を見るだけでなく、申告内容と実態の整合性を細かくチェックします。特に、帳簿や領収書の信頼性、取引の実態、現金やデータ管理の方法など、誤りやすい箇所や脱税がよく起こる箇所が重点的に見られます。

ここでは、調査官が注目する代表的なポイントを3つに分けて詳しく解説します。

帳簿・領収書・請求書の整合性を確認される

帳簿に記載された数字と、それを裏付ける領収書・請求書などの証憑(しょうひょう)類の一致は、調査官が最初に確認する基本項目です。

確認されるポイント

  • 日付、金額、取引先名が一致しているか
  • 領収書や請求書の宛名が事業者名になっているか
  • 二重計上や水増し請求の形跡がないか

また、決算月に不自然に連続した領収書や手書きのものばかりが多い場合は要注意。不正を疑われやすくなるため、事前に整理・説明の準備をしておく必要があります。

取引の実態と領収書・請求書などは整合しているかチェックされる

実際の取引内容と領収書や請求書、契約書の内容が整合しているかどうかも重視されるポイントです。書類は揃っているものの取引の実態がない架空取引や、実際の取引内容とは異なる名目で領収書や請求書を記載している仮装・隠蔽行為がある場合、重加算税の対象になりペナルティが多額となりますので非常にリスクが伴います。

特に、架空取引や書類を偽装する行為などは税金の見通しが立つ決算月に集中する傾向があります。調査官もそういった事情は把握しているため、決算月の書類は特に注意深く確認されるでしょう。

調査官が見るポイント

・架空の取引はないか(架空の外注費、給料、広告宣伝費などの計上)

・実際の取引内容と証憑類は整合しているか(実際の取引内容を確認するため取引先に反面調査)

・所得を減らすため、決算月に棚卸資産の過少計上や未納品の成果物に対する経費が計上されていないか、売上を意図的に繰り延べていないか

現金・口座・パソコンデータなど証憑の一貫性も見られる

近年の税務調査では、現金管理・預金口座の入出金履歴だけでなくパソコン上のデータ内容まで確認されるケースが増加しています。

確認される内容

確認対象チェックされる点
現金出納帳売上・経費の記録と実際の残高の一致
銀行口座事業用と個人用の使い分けの有無、帳簿に計上されていない口座の有無
パソコン会計ソフトのデータ、Excel記録、請求書の保存状況

特に、個人口座を事業でも使っている場合は「経費の私的流用」を疑われやすいため注意が必要です。よくある不正の事例は、法人の売上にもかかわらず一部を代表者の個人口座に入金して申告しないことです。このような場合、重加算税の対象となる可能性が高いため注意しましょう。

税務調査の通知が来たときの正しい対応

税務調査の通知が突然来ると身構えてしまうのは当然です。しかし、その場の感情で慌てて対応すると、不利な状況を招く可能性があります。大切なのは、落ち着いて対処し、自分の権利と義務を理解したうえで行動することです。

ここでは、正しい対応ステップを具体的に解説します。

調査の日時や目的、税目・対象期間、役職などを確認する

税務署から税務調査の電話が来たら、まず以下の情報を必ずメモしておきましょう。

  • 税務署名と所在地(例:新宿税務署)
  • 担当者の名前と所属・役職・人数
  • 連絡先電話番号と受付時間
  • 税務調査の日時・場所
  • 対象となる税目と調査対象期間
  • 調査の目的

この情報を整理した上で、「一度確認して折り返します」と伝え、即答を避けるのがベストな対応です。不明点がある場合は、税務署や税理士に相談しましょう。

その場での説明や回答は控え、税理士に同席を依頼する

調査官に電話で突然質問されると、「何か答えなきゃ」と焦ってしまいがちですが、その場で即答するのは避けるのが鉄則です。内容を正確に把握していない段階での発言は、後から矛盾として指摘されるリスクがあるためです。

推奨される対応

  • 「税理士に確認してから回答します」と伝える
  • 「後日、税理士を交えてお話しします」と同席を依頼する
  • 「内容を整理してから対応させてください」と猶予をお願いする

税理士が立ち会えば、専門的な判断に基づいた正確な説明が可能になり、税務署とのやり取りもスムーズになります。

日時変更の交渉や対応方針を税理士と相談して決める

税務調査は必ずしも通知されたその日に応じる必要はありません。基本的には任意調査であり、調査日程の変更や資料準備の時間を要望することが可能です。

対応方針のポイント

行動効果
日時の再設定をお願いする資料準備・税理士同席の時間確保ができる
対応場所の調整を相談する自宅での調査を避け、事務所などに変更できることも
調査内容の範囲確認を依頼不要な調査や範囲外の確認を回避できる可能性あり

「即答しない・一人で対応しない・内容を確認してから動く」という3原則を守れば、落ち着いて適切に対応できます。

税務調査で自宅を見られる範囲とプライバシーの守り方

個人事業主やフリーランスの中には、自宅を事務所として利用している人も多く、自宅調査に対して強い不安を抱えるケースが少なくありません。
「家族の部屋まで見られるのか?」「プライベート空間に立ち入られるのでは?」という心配に対して、実際に税務署が立ち入れる範囲や、プライバシーを守るための正しい知識を解説します。

調査官が確認できるのは「事業に関係する範囲のみ」

税務調査はあくまで、「申告された所得や経費の妥当性を確認するための行為」であり、事業に関連する物や空間に限定して確認が行われます。

自宅兼事務所の場合、調査対象になる可能性があるスペース

  • デスクや書類棚など、作業スペース
  • 会計資料やパソコンなどの事業関連機器
  • 来客用として使用しているリビング等(業務用途が明確な場合)

調査官は、私生活や家族の生活空間まで自由に立ち入る権限はありません。「ここは事業とは無関係です」と明確に伝えれば、調査官も無理に踏み込むことは基本的にありません。

家庭スペースや家族の私物は見せる義務がない

調査官が「自宅内をもっと見せてください」と求めてきても、家族の寝室やキッチン、子どもの部屋など、事業活動と関連性のない場合は見せる必要はありません。

調査官の立場や態度に気圧されて、自主的に見せてしまう必要はまったくありませんが、自宅兼事務所の場合、家事按分の適正性などが問題となり、調査の対象となることはあります。

正当な理由があれば調査を一時的に延期できる

任意調査であれば、調査官の立ち入りをその場で一時的に延期することも可能です。
災害や体調不良、業務上の理由など合理的な理由がある場合は、調査を改めてもらうことができます。

延期する際のポイントは、「理由を明確に伝えること」です。
また、立ち入りの要望が強い場合は、税理士を通じて正式な再調整を行うことが望ましい対応となります。

調査官が一人でも侮れない!軽視したときのリスク

税務調査で調査官が一人で訪れると、「大したことないだろう」「軽い確認で終わるだろう」と油断してしまうケースがあります。しかし、一人で来る調査官であっても、調査結果次第では厳しい調査への移行やペナルティの対象となる可能性も十分にあります。

ここでは、調査官を甘く見たことで起こり得るリスクを具体的に紹介します。

曖昧な回答や虚偽説明は後日「矛盾」として記録される

調査官が一人で来るとつい気が緩み、記録を確認せずに感覚で答えたり、曖昧な説明をしてしまうことがあります。

しかし、その場のやりとりはしっかりと記録されており、後日の調査や帳簿との照合で「発言と記録が食い違っている」と判断されると、虚偽説明とみなされる可能性があります。

  • 経費の使い道を曖昧に説明 → 「事業関連性に疑義あり」と記録
  • 現金管理を曖昧に報告 → 実地調査で食い違いが発覚し是正の対象に

一人対応でも、一言一句が調査資料になる意識を持って、慎重な受け答えが必要です。

悪質と判断されれば複数調査官による調査に発展する

一人での聞き取り調査や書類提出依頼で不信点が強まると、税務署はより深度ある調査への切り替えを検討することもあります。

特に、以下のような対応をしてしまうと「悪質性がある」と判断されるリスクが高まります。

  • 質問に対して虚偽や矛盾のある返答をする
  • 証憑類の提出を拒否・遅延させる
  • 納税意思が見られない対応を取る

このような場合、複数日にわたる調査に発展し、広範かつ詳細なチェックが行われる可能性もあります。

調査記録や対応履歴は税務署内部で共有される

税務署は、過去の調査記録や納税者の対応履歴を内部で共有する仕組みを持っています。

そのため、今回の調査で不誠実な態度や非協力的な行動を取った場合、将来の調査や申告処理において重点的に確認されるリスクがあります。

税務署内で共有される可能性がある情報

内容税務署内での扱い
不正疑義のある回答次回調査時の重点確認項目になる
証憑提出の遅延・拒否調査官の判断で調査が厳しくなる可能性

「一人の調査官=軽い調査」と思い込まず、常に誠実・丁寧な対応を心がけることが最良のリスク回避策になります。

税理士立会いで安心して対応するための準備

税務調査において最も心強い味方となるのが、税理士の立会いです。専門家の視点で対応方針を整え、税務署とのやりとりを円滑に進めることで、無用な誤解や不利な判断を防ぐことができます。ここでは、税理士に同席を依頼する前にやっておくべき準備を3つのポイントに分けて解説します。

税理士に調査官の役職・調査目的を共有する

税理士に対応を依頼する際、調査官の氏名・役職・調査目的・確認された事項などをできるだけ詳細に伝えることが大切です。

これにより、税理士は調査のレベルを判断し、必要な対応や資料の精査にスムーズに着手できます。

伝えるべき情報の例

  • 調査官の名前・税務署名・役職(国税調査官・事務官など)
  • 訪問の目的(帳簿確認、所得の確認、経費の按分など)
  • 調査日時・場所・対応時間の長さ

情報を事前に伝えることで、税理士が効果的な助言・対応を準備でき、調査当日に混乱するリスクを減らせます。

調査当日に必要な資料をリスト化しておく

税理士が立ち会うとはいえ、必要な資料が手元に揃っていなければ調査は進みません。そのため、事前に「どのような書類が求められるか」を整理して準備する必要があります。

一般的に調査で求められる資料

種類内容例
会計帳簿総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳など
証憑領収書、請求書、納品書、契約書など
銀行資料通帳、ネットバンクの明細書、入出金履歴
パソコンデータ会計ソフトのデータ、Excel管理資料 など

不備や紛失がある場合は、税理士と相談のうえ早めに対応方法を決めておくことが重要です。

税務署とのやり取りはなるべく記憶しておく

税理士に依頼する前に調査官とやり取りする際は、内容をなるべく記憶しておくことや後でメモを残すことも有用です。後から「言った・言わない」のトラブルを防ぐだけでなく、税理士に報告する際にも有効な情報源となります。

記録しておきたい内容

  • 調査官の質問と、それに対する自分の回答内容
  • 調査官が注目していた資料や指摘された点
  • 調査の進行時間、雰囲気、調査官の態度など

税理士が調査の全体像を把握し、適切な指導・是正措置を行うためにも、やり取りの内容は非常に重要です。

税務調査を冷静に乗り切るための心構え

税務調査は誰にとってもプレッシャーを感じる場面ですが、必要以上に恐れたり感情的になったりすると、かえって不利な状況を招くこともあります。重要なのは、「冷静・誠実・準備」の3つを意識して調査に臨むことです。

ここでは、税務調査をスムーズに乗り切るために覚えておきたい基本的な心構えを紹介します。

一人で対応しない・即答しない・感情的にならない

調査でありがちな失敗は、「一人でなんとかしよう」とすることです。調査官の質問にその場で即答したり、否定的な感情をぶつけたりすると、誤解を招いたり信頼を損ねる可能性があります。

調査時の3つの鉄則

  • 一人で対応しないできるだけ税理士に同席してもらう
  • 即答しないわからないことは「確認して後日回答します」でOK
  • 感情的にならない冷静な態度が信頼を得る鍵

この3つを守ることで、調査官との関係を良好に保ちつつ、的確な対応ができるようになります。

誠実な態度と整理された資料が信頼を得るカギ

税務調査では、正しいことをしていても、態度や準備不足によって疑念を持たれるケースがあります。逆に、誠実に対応し、必要な資料を分かりやすく整理しておくことで、調査がスムーズに進みやすくなります。

信頼されやすい対応例

状況誠実な対応例
質問を受けた時「正確な記録がありますので、確認してご報告します」
証憑が未整理な時「すぐに整理します。期限までにご提出します」
税理士に頼る場面「専門家と一緒にしっかり対応いたします」

このような姿勢を見せることで、調査官に「この人はきちんと向き合っている」と伝わります。

日頃から帳簿・領収書・データを整備しておく

税務調査は突然やってきます。調査前に焦らないためにも、日頃から帳簿や証憑類を整備し、事業の透明性を保つ習慣が重要です。

日常的にやっておくべきこと

  • 会計ソフトで日々の取引を入力・管理する
  • 領収書や請求書を月別・用途別に分類して保管する
  • 家事按分などの基準を明確にし、毎年見直す

こうした習慣があれば、調査時に自信を持って対応できるだけでなく、経営の数字を正しく把握できるという大きなメリットにもつながります。

まとめ

税務調査で調査官が一人で来る場合も、軽視するのは危険です。調査の背景や調査官の役職・人数には意味があり、その見極めと対応が結果を大きく左右します。特に、自宅兼事務所での調査や家事按分のチェックなど、小規模事業者であってもリスクはあるため、しっかりと準備と理解が必要です。

税務調査に備えるうえで最も重要なのは、日頃から帳簿・証憑類を整え、冷静かつ誠実に対応する姿勢を持つことです。

調査官が一人で訪問しても、通常の税務調査であることに変わりありません。曖昧な対応を避け、税理士と連携しながら、的確な資料と説明ができる体制を整えておくことが、信頼される納税者への第一歩です。

もし税務調査に対して不安がある場合は、税理士法人GNsのように税務調査対応に特化した専門家に相談することで、万全のサポートと心の余裕を持って臨むことができます。納税者としての責任を果たしながら、安心して事業を続けられる環境を整えていきましょう。