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無申告で税務調査を受けたらどうなる?調査の流れと整理のポイント

税務 調査 無 申告

目次

確定申告を長期間しておらず、「突然税務署から連絡が来たらどうしよう」という不安を抱えてはいないでしょうか。副業やフリーランスの収入があるにもかかわらず、税金の申告をせずに放置してしまったケースも少なくありません。

本記事では、無申告のまま税務調査を受けた場合の流れや対応方法、課税リスクの整理ポイントを分かりやすく解説します。

どのような書類が必要で、どこから手を付ければ良いのか、不安を行動に変えるヒントを詰め込んでいます。

無申告のまま税務調査を受けるとどうなる?

申告をしていない状態で税務署から連絡が来ると、驚きや焦りを感じるのは当然です。無申告でも税務調査の対象になるケースは珍しくなく、むしろ税務署は積極的に無申告を調査対象とします。近年はテクノロジーの進化により調査の精度も高まっています。ここでは、税務調査の始まり方や実際の調査内容について紹介します。

税務署は調査対象をAI分析や情報照合で抽出している

税務調査は無作為に行われるわけではありません。税務署ではAIやマイナンバー制度を活用して、申告漏れの可能性が高い人を抽出しています。特に近年では以下の情報から無申告者が浮かび上がりやすくなっています。

  • 金融機関とのデータ連携
  • 副業先から提出された支払調書
  • 他者からの情報提供(タレコミ含む)
  • 所得や消費の不自然な動き

無申告だからといって見つからない時代ではなくなってきています。マイナンバーを通じた管理も進んでおり、所得の全体像が見えやすくなっています。

税務調査は事前通知から始まるケースが多い

税務調査が突然自宅や事務所に押しかけてくるイメージを持つ方も多いですが、通常は「文書」や「電話」での連絡から始まります。内容は以下のようなものです。

  • 税務署からの文書による呼び出し
  • 任意での資料提出依頼
  • 事前の聴取やアンケート形式の確認書

この時点で無視したり、連絡を避けたりすることは最もリスクが高い行動です。任意であっても実質的には強い意味を持つため、早めの対応が求められます。

ただし、連年無申告の場合には、事前連絡なく自宅や事務所に調査官が訪ねてくることもありますので注意してください。

実地調査では帳簿・通帳・請求書などの原本確認が行われる

実地調査(いわゆる臨場調査)では以下のような確認が行われます。

  • 総勘定元帳、売上帳や仕入帳などの帳簿類
  • 銀行通帳やクレジット明細
  • 請求書・領収書
  • 契約書・見積書などの補助資料
  • 事業内容・取引先

調査官はこれらの資料を通じて、所得の有無や金額の妥当性を確認します。形式的な整合性だけでなく、取引の実態に基づく判断も下されるため、資料の準備や説明力が重要です。

税務調査で無申告が発覚した場合はどうなるのか

無申告のまま税務調査を受けた場合、何が起きるのかを具体的に把握することは、適切な対応を行ううえで非常に重要です。税務署は調査を通じて、申告すべき所得があるかを確認し、必要に応じて修正を促します。ここでは、調査時に求められる対応やその後の処理について詳しく解説します。

申告内容の聴取と経理資料の提出を求められる

無申告者に対する税務調査では、まず「どうして申告していなかったのか」や「収入の有無」などについて、口頭で確認が行われます。この際に以下のような書類の提示を求められることが一般的です。

  • 売上や報酬の記録(請求書や入金明細など)
  • 経費に関する領収書や契約書
  • 銀行通帳のコピーや振込履歴

この時点で虚偽の説明を行ったり、提出を拒否することは「隠蔽・仮装」と捉えられるリスクを高める要因になります。たとえ遅れてでも、正直に対応することが重要となります。

特に連年申告していなかった場合はその理由を厳しく追及されることがあります。

調査結果に基づいて更正処分・修正申告が行われる

調査を経て、無申告であった事実が確認されると、税務署は決定処分を行うか、本人に期限後申告を求めることになります。

  • 決定処分は、税務署側が税額を決定して通知するもので、反論には「再調査の請求」や「審査請求」の手続きが必要です。
  • 期限後申告は、本人の意思で提出するもので、反省や是正の意思があるとみなされやすく、決定処分よりも税務調査がスムーズに終了することが多いです。

どちらの場合でも、所得の金額や経費の根拠を説明できる資料の有無が、今後の処分内容に大きく影響します。

本税に加えて加算税・延滞税が課される

税務調査により無申告が発覚した場合、納税義務は本税(本来納めるべき税額)だけでは終わりません。追加で以下の税金が課されます。

種類内容
無申告加算税期限内に申告が全くされていなかった場合に課される
重加算税仮装・隠蔽などの不正が認められた場合に課される
延滞税納付期限からの日数に応じて課税(利息的な性格)

特に延滞税は納付期限から日数が経過するごとに大きくなり、放置するほど負担が膨らむ点に注意が必要です。調査で指摘される前に自主的な対応をすることで、これらのペナルティの一部を軽減できる可能性があります。

無申告に課される主なペナルティと軽減条件

無申告が発覚した場合、ペナルティは決して軽いものではありません。しかし、すべてが一律に処分されるわけではなく、状況や申告のタイミングによっては軽減措置が受けられる可能性もあります。

ここでは、代表的な加算税の種類や、悪質と判断された場合の処分、そしてリスクを軽減するための具体的な条件を解説します。

過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の違い

加算税は、税務上の義務違反に対して課されるペナルティです。無申告であったか、申告はしていたが内容に誤りがあったかによって分類が異なります。

税目概要
過少申告加算税期限内申告のミスに対して課される
無申告加算税期限内に申告がされていなかった場合に課される
重加算税隠蔽や仮装があったと認められた場合に課される

無申告の場合は、無申告加算税が課されます。また、重加算税が課されるのは、意図的に収入を隠したり、経費を水増しした、意図的に無申告を継続していたなどと判断されたケースです。

悪質な場合は刑事告発や青色申告取消の可能性も

加算税で済まないケースとして、以下のような重い処分が科されることもあります。

  • 刑事告発:数億円以上の所得隠しなどが意図的・組織的と判断されると、刑事責任を問われることがあります。
  • 青色申告の取消:再度申請をして承認されるまで、青色申告特別控除や赤字の繰越といった特典が使えなくなります。
  • 社会的信用の失墜:刑事責任を問われることでメディアに報じられ、取引先や関係者からの信用を損なう恐れもあります。

自主的な申告で税率が軽減される

唯一、税負担を軽くする方法として有効なのが自主的な申告(期限後申告)です。税務調査の通知前や調査の立会い前に行うことで、以下のような軽減措置が適用されます。

  • 無申告加算税が軽減される
  • 重加算税の対象となる可能性を低下させられる(調査の立会い前に修正した部分は原則重加算税の対象外)
  • 延滞税が早く止まり、日数分の負担が減る

下記は無申告加算税の税率です。

状況税率
自主期限後申告5%
調査通知後10%(50万円超300万円まで15%)(300万円超25%)
調査後15%(50万円超300万円まで20%)(300万円超30%)

税務調査の前に準備すべき書類と整理ポイント

無申告で税務調査を受けることになった場合、手元にある資料が整っているかどうかがその後の対応を大きく左右します。書類の有無や整備状況によって、調査がスムーズに進むことにつながるため、できる限りの準備が必要です

ここでは、調査前に準備しておくべき書類と、その整理のコツを具体的に紹介します。

帳簿・通帳・領収書・契約書を時系列で整理する

まず、最も基本的かつ重要なのが「資料の整理」です。税務調査では、売上や経費の流れに不自然な点がないかを確認するため、整った資料が求められます

準備すべき書類の例

  • 銀行口座の通帳コピーや明細
  • 領収書、レシート
  • 契約書、見積書、納品書

特に帳簿がない場合でも、通帳や領収書を日付順に並べるだけでもある程度の取引履歴を再現することが可能です。

現金取引や交際費など説明が必要な項目を洗い出す

次に重要なのが、説明の難しい取引の把握です。税務調査では、特に「現金払い」や「交際費」「高額な支出」などが重点的に確認されます。

重点的に確認されやすい項目

  • 頻繁に入金・出金されている現金取引
  • 飲食代や贈答品などの交際費
  • 家賃や車両費など、事業と私的利用が混ざる支出

これらについては事前に「用途」や「取引相手」「頻度」などをメモしておくと、スムーズな説明が可能になります。不自然な点がある場合は、調査前に税理士に相談しておくのが安全です。

経費や売上の根拠を説明できるようメモを残す

税務調査では、「なぜこの経費が発生したのか」「この収入はどのような仕事の対価か」といった説明を求められることがあります。そのため、各取引について補足説明となるメモやノートを残しておくと非常に有効です。

メモに含めるとよい内容

  • 取引の背景(何のための支出か)
  • 関係者や会社名、案件名
  • 公私の区別を明確に示す説明

メモがあることで、たとえ領収書の不備があっても、調査官が意図をくみ取ってくれる可能性が高まります。口頭での説明よりも、事前に書面で整理しておくことが望ましいです。

税務調査後に行うべき修正申告と対応手順

税務調査が終了した後、調査結果に応じて申告や追加納税が求められます。この段階での対応が遅れたり不十分であったりすると、延滞税の増加につながることもあるため、迅速かつ正確な処理が必要です

ここでは、調査後に取るべきステップと、それぞれの注意点について詳しく解説します。

調査官からの指摘内容を確認して修正範囲を特定する

税務調査後には、調査官から「指摘事項」として修正が必要な内容が具体的に伝えられます。この内容を正確に把握し、どの項目がどのように問題視されているのかを理解することが第一歩です。

この段階では感情的にならず、冷静に指摘内容を受け止めることが大切です。わからない点があれば、その場で遠慮せず確認しましょう。事実と異なる点があれば、資料を示して再説明することで見解が変わる場合もあります。

修正申告書を提出し、追徴税額の納付計画を立てる

修正内容が確定したら、「修正申告書(または期限後申告書)」の作成と提出を行います。修正申告書の提出後、本税・加算税・延滞税を納付します

追徴税額が高額になる場合には、一括納付が困難なこともあるため、納付計画を立てて「分割納付」の相談も可能です。税務署としても、納付の意思があることを示せば、一定の配慮を行ってくれるケースがあります。

納付猶予の相談も可能

税務署は、納税者の事情に応じて「納付の猶予」を認める運用をしています。特に無申告者にとっては、数年分の税金を一度に支払うのは現実的に厳しい場合もあるため、早めの相談がカギとなります。

こうした制度を活用することで、経済的な負担だけではなく、精神的な負担も大幅に軽くすることができます。

税理士に相談するメリットと活用のタイミング

無申告の状態で税務調査を受けるのは、精神的にも実務的にも大きな負担です。対応を誤ると追徴課税が増えたり、調査が長引いたりする可能性があります。こうした場面で、税理士の専門知識と経験を活かすことは、非常に大きなメリットがあります

ここでは、税理士に相談すべき理由と、そのタイミングについて具体的に説明します。

税務調査の対応方針を客観的に判断してもらえる

税務調査の指摘に対して、自分だけで冷静に対応するのは難しいものです。税理士は税法や税務署の実務に精通しているため、状況を的確に整理し、最適な対応方針を立てるサポートをしてくれます

税理士が行う主な対応

  • 税務調査の立会いや調査官とのやり取り
  • 指摘内容の法的妥当性の検証、減額に向けた交渉
  • ペナルティ軽減のためのスピーディーな対応

感情的になりがちな場面でも、税理士の冷静な判断が入ることで、結果的に調査がスムーズに進み、過剰な課税や刑事責任を回避できる可能性が高まります

修正申告書や説明資料の作成をサポートしてもらえる

税務調査後に求められる修正申告書や説明資料の作成は、非常に専門的かつ手間のかかる作業です。誤った記載や不十分な説明は、税務署に不信感を与え、調査の長期化や厳格化を招くことがあります。

税理士がサポートできる主な書類

  • 修正申告書(税額計算を含む)
  • 売上・経費の根拠となる資料
  • その他収支内訳書や各種補足資料

これらを正しく、そして根拠を持って作成できることが、課税リスクの最小化と信頼回復の第一歩となります

交渉・立会いで調査官とのやり取りを円滑に進められる

税務調査では、調査官との対話の中で小さな誤解がトラブルに発展することも少なくありません。税理士が立ち会うことで、誤解の解消や交渉の進行が格段にスムーズになります

税理士によるサポート内容

  • 調査官への説明代行や意見の補足
  • 質疑応答の内容記録と誤解の訂正
  • 適切な妥協点の提示

とくに、「どこまで説明すべきか」「どこまで情報を出すべきか」といった判断は、専門知識がないと難しいため、税理士の関与が大きな安心材料となります

税務調査に特化した税理士法人 GNsは、こうした交渉・立ち会いの現場経験が豊富な専門家が在籍しています。調査官との対話で不利にならないための戦略立案から、現場での同席、事後の対応までを一貫してサポートしているので、初めての税務調査でも安心して臨むことができます。

今後の税務調査リスクを減らすための予防策

一度税務調査を経験すると、「もう二度と調査を受けたくない」と思うのは当然です。無申告や申告漏れが原因で調査対象となった場合でも、その後の行動次第で再発を防ぐことは十分に可能です。ここでは、申告漏れ等のリスクを最小限に抑えるために、日常業務で意識すべき予防策を紹介します。

会計ソフトやクラウド管理で申告漏れを防ぐ

最も基本的な対策は、日々の取引を記録・管理する仕組みを持つことです。紙の領収書やエクセルだけで管理していると、漏れや紛失が発生しやすくなります。現代では、以下のようなツールを活用することで申告ミスを大きく減らせます。

おすすめの会計ツール

  • freee や マネーフォワード などのクラウド会計ソフト
  • スマホからレシートを読み取れるアプリ
  • 銀行口座・クレカと連携して自動記帳できる機能

これらを活用すれば、リアルタイムでの収支把握や自動仕訳が可能となり、売上や経費の記帳ミスなどを未然に防ぐことができます。また、クラウド保存されるため、調査時に資料が提出しやすくなるメリットもあります。

定期的に税理士へチェック依頼を行う

どれだけ管理をしていても、専門的な税務判断は難しい場合が多いです。とくに以下のようなタイミングでは、税理士にチェックを依頼することで、未然にトラブルを防げます。

相談のタイミングの例

  • 決算や確定申告前
  • 大きな収入や支出が発生したとき
  • 税務署から何らかの通知が届いたとき

定期的な顧問契約でなくても、税理士によってはスポット相談や申告書のレビューだけの依頼に対応してくれることもあります。自分だけで判断しないことが、調査リスクを減らすための第一歩になります。

事業と私的支出を明確に分けて管理する

税務調査でよく指摘されるのが、経費と私的支出の混在です。どこまでが仕事の支出で、どこからがプライベートなのかが不明瞭だと、調査官の心証を悪くするだけでなく、必要以上の修正や否認を受ける可能性があります

明確に分けるための工夫

  • 事業用と私用で銀行口座・クレジットカードを分ける
  • 自宅を事務所として使っている場合は、按分の根拠をメモに残す
  • 交際費や旅費は誰との関係で使ったのかを記録しておく

このように日頃から意識して整理しておくことで、調査になっても自信を持って説明でき、不要な追徴税額を防ぐことが可能です

まとめ

税務調査における無申告の発覚は、多くの不安とリスクを伴いますが、正しい対応と準備をすれば、過度に恐れる必要はありません。この記事では、税務署が無申告をどう把握するのか、調査の流れ、発覚後に取るべき対応、そして再発防止策までを網羅的に解説しました。

最も重要なのは、無申告に気づいた段階でできるだけ早く行動に移すことです。自主的な申告は加算税の軽減にもつながり、重加算税や刑事責任のリスクも軽減できます。帳簿の整理や資料の準備、修正申告などを進めるうえで、税理士の力を借りることで不安や手間を大きく減らすことができます。無申告状態が続いており、税務調査の対応などに不安を感じている方は、税務調査対応に特化した税理士法人 GNsに相談してみてください。経験豊富な専門家がサポートします。