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税務調査は社長不在でも大丈夫?法的義務と概況聴取での同席ポイントを解説

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目次

税務調査の通知が届いたとき、社長が出張や体調不良などで不在になる予定がある場合、「自分がいなくても大丈夫だろうか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。税務調査は会社にとって重要な局面であり、社長の役割も非常に大きなものです。

しかし、実際にはすべての日程に社長が立ち会う必要があるわけではなく、法律上の義務や実務上の対応ポイントを正しく理解することで、安心して対応できます。

この記事では、税務調査における社長不在の可否や、特に重要となる「概況聴取」の対応方法について詳しく解説していきます。社長が限られた時間で的確に対応するための準備方法や、代理対応の可否など、現場で実際に役立つ情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

【結論】税務調査に社長の同席は法的に必要?実務上の対応は?

税務調査において「社長が必ず立ち会わなければならない」と考えている方も多いかもしれませんが、実際のところ法的な同席義務はありません。しかしながら、調査の初日に行われる「概況聴取」においては、社長の出席が非常に重要とされています。

ここでは、法律上の位置付けと、実務における対応のポイントを整理して解説します。

法的には同席義務なし:調査対象は「法人」であり「社長」ではない

税務調査は、法人の申告状況を確認するために行われるものです。そのため、調査対象は「会社」であり、「個人である社長」ではありません。税務署側も、会社の会計資料や帳簿を確認することを主な目的としており、社長が法的に立ち会う義務はないとされています。

つまり、法律上は社長が不在であっても調査そのものは成立します。ただし、それはあくまで形式上の話であり、実務上では別の観点が関わってきます。

ただし1日目午前中の概況聴取は社長の出席が実務上必須

実務上、税務調査の1日目午前中に行われる「概況聴取」は非常に重要です。調査官はこの時間に、会社の事業概要や経営状況、業界の動向、資金繰りなどについて、社長本人にヒアリングを行うのが一般的です。

この際、社長が不在だと「なぜ本人がいないのか」「経営者としての説明責任は果たせるのか」と調査官に疑念を持たれる可能性もあります。そのため、概況聴取には社長が出席するのが実務上の慣例であり、事実上「必須」といえます。

帳簿確認に入れば不在でも問題無いケースが多い

概況聴取が終わり、帳簿の確認作業に入った段階では、社長の役割は大きくありません。帳簿や領収書、請求書などは経理担当者や税理士が日々管理しており、その説明も担います。経理責任者や顧問税理士が対応できる部分であるため、社長は外出しても差し支えないと判断されることが多くなります。

ただし、最終日に行われる「講評」では、論点の整理や否認事項の指摘がされるため、再度社長の同席が望ましいタイミングです。

社長が出張・病欠の場合は税務調査の延期が可能?

税務調査の日程は原則として事前に通知されますが、どうしても社長が出張や体調不良で不在になる場合、調査日を変更できる場合もあります。

ここでは、正当な理由がある場合の延期の可否や、当日の急な欠席に関する対応策を詳しく解説します。また、社長不在によって起こり得るリスクについても触れておきましょう。

事前通知の段階で日程変更を依頼できる正当な理由とは

税務調査の通知が届いた段階で、社長にどうしても外せない予定や出張がある場合は、正当な理由として日程変更を申し出ることが可能です。税務署も無理に日程を押し通すわけではなく、以下のようなケースであれば柔軟に対応してくれることが多いです。

  • 既に決まっている国内外の出張
  • 重要な取引先とのアポイント
  • 健康上の理由(病院への通院や手術予定など)

変更を依頼する際のポイント

  • できるだけ早く税務署へ連絡する
  • 具体的な理由を明確に説明する
  • 代替日程の候補を複数提示する

あくまでも「やむを得ない理由」であることが前提であり、「税務調査が怖いから避けたい」という理由では受け入れてもらえません。誠実に対応する姿勢が大切です。

当日の急な不在(病欠・緊急出張)は延期理由になるか

体調不良や緊急の出張など、どうしても当日になって社長が対応できなくなる場合もあります。このような状況では、税務署側も一定の理解を示すことがありますが、無条件で調査が延期されるわけではありません

【当日欠席が認められやすい例】

  • 急な発熱や感染症(病院の診断書があると説得力が増します)
  • 急な事故・家族の急病による対応
  • 予測不可能なトラブルに伴う対応(システム障害など)

ただし、社長がいなくても帳簿確認など調査の一部は進められるため、税務署は一部だけでも実施しようとするケースがあります。そのため、調査全体を延期できるかは状況次第となります。

社長不在を理由に調査がスムーズに進まないリスク

社長不在での税務調査には、いくつかのリスクも伴います。特に概況聴取に関しては、社長にしか分からない事業内容や今後の経営方針などを説明できないことが調査官の不信感につながる可能性があります。

【社長不在による主なリスク】

  • 説明不足により調査官が詳細な確認を求めるようになる
  • 「逃げているのでは」と思われ、調査が長期化・厳格化する
  • 不備がないのに疑いを持たれやすくなる

これらのリスクを回避するためにも、可能な限り社長は初日の概況聴取には出席することが望ましいといえます。

税務調査当日の流れと社長が外出できるタイミング

税務調査の当日は、調査官が会社に訪問し、事前通知された内容に基づいて実地調査が行われます。社長としては「どの時間帯までいればいいのか」「途中で抜けても問題ないのか」が気になるところでしょう。

ここでは、当日の調査スケジュールと、社長が同席すべきタイミング・外出可能な時間帯について詳しく解説します。

1日目午前中:概況聴取が行われるため社長の同席が必要

税務調査の初日は、ほとんどのケースで午前中に「概況聴取」が行われます。これは、調査官が会社の代表者である社長に対して、事業の概要や経営状況などを直接ヒアリングする重要な時間です。

【概況聴取での主な内容】

  • 会社の設立経緯や沿革
  • 主力商品・サービスとビジネスモデル
  • 取引先や顧客層の特徴
  • 経営上の課題や展望

これらは社長にしか説明できない部分が多いため、この時間帯には必ず社長が立ち会うことが求められます。不在の場合、調査官が納得するまでの説明ができず、調査が厳格になる懸念があります。

1日目午後以降:帳簿確認は経理責任者や税理士に任せて外出も可能

概況聴取が終わり、午後の時間帯になると調査官は帳簿や領収書、契約書などの確認に移ります。ここからは、日常的に業務を把握している経理責任者や顧問税理士が対応可能なフェーズです。

【午後以降の調査内容】

  • 総勘定元帳・仕訳帳の確認
  • 売上・仕入の伝票チェック
  • 原価計算や棚卸資産の検証
  • 経費の内容や適正性の確認

この工程では、社長の関与は原則として不要なため、外出や出張に向かうことも可能です。ただし、想定外の質問が出た場合に備えて、緊急時に連絡が取れるようにしておくことが望ましいです。

調査最終日:税務調査の講評があるため社長の同席が必要

税務調査の最終日には、調査官から進捗の報告や指摘事項の説明が行われます。これを「講評」と呼び、その時点の調査全体のまとめとなる重要な局面です。

【講評で行われる内容】

  • 調査期間中に確認された事実の説明
  • 問題点がある場合の指摘
  • 修正申告や追徴課税の可能性の案内

この場には、再度社長が立ち会うことが推奨されます。なぜなら、調査結果に対して今後の対応をどうするかを判断する必要があるためです。経理担当者では判断がつかない場面もあるため、会社としての意思決定者である社長が出席しておくとスムーズです。

概況聴取で調査官が社長に質問する内容とは

税務調査の初日午前中に行われる概況聴取は、調査の前提となる重要なヒアリングです。調査官は、会社の事業全体や業界環境、経営方針などについて、社長本人からの説明を求めることがほとんどです。

ここでは、実際に質問される内容をテーマ別に整理し、どのような準備が必要かを解説します。

会社の成り立ち・事業内容・業界の動向

まず調査官が確認するのは、会社の基本情報と業界の全体像です。これは税務リスクを事前に把握するための導入的な質問であり、曖昧な返答をすると不信感を与える可能性があります。

以下のような内容が想定されます。

質問テーマ調査官が確認するポイント準備しておきたい情報
設立経緯・沿革会社設立の目的や背景設立年、創業の動機、法人化の理由
事業内容主な商品・サービス、提供形態商品概要、取引形態(BtoB/BtoCなど)
業界動向市場規模、競合、今後の展望最近の市場情報やトレンドの把握

要点を端的に説明する準備をしておくことで、調査官の信頼を得やすくなります。

今後の事業方針・経営状況・資金繰り

概況聴取の後半では、将来の展望や直近の経営実態について質問が及びます。調査官は、税務上のリスクが生じる可能性や、現時点での資金繰りに問題がないかを把握しようとします。

代表的な質問は以下の通りです。

質問テーマ調査官が探る意図注意点
経営方針売上の拡大方針、拠点の増減実現可能性のある計画を示す
資金繰り借入金の有無、返済状況直近のキャッシュフロー状況を把握しておく
経営課題課題への対応策、リスク管理漠然とした回答は避ける

具体的な数値や資料をもとにした回答ができると、調査官の評価も良くなります。

概況聴取は、社長が会社をどう見ているかを伝える絶好の機会でもあります。誠実で明確な受け答えが、調査全体の雰囲気を左右することを意識しましょう。

社長が急遽不在になった場合の代理対応の可否

税務調査当日に、社長が急な病気や予定変更で同席できなくなった場合、「誰が代理で対応できるのか」は非常に重要な判断ポイントです。特に概況聴取については、誰でも代わりが務まるわけではありません。ここでは、各対応フェーズごとに誰が対応できるか/できないかを明確に解説します。

概況聴取は社長本人が対応することが適切

概況聴取は、会社の経営方針や事業の根幹についてのヒアリングです。そのため、原則として社長本人が対応するのが望ましいとされています。代理の人間では、調査官の質問に対して的確な回答ができない可能性があり、説明不足から余計な疑念を生むことがあります。

【代理対応が不適切な理由】

  • 経営方針や戦略は社長でなければ説明しづらい
  • 回答に自信がないと調査官の追及が厳しくなる
  • 不在理由が不明確だと、誠意を疑われることもある

やむを得ない事情がある場合でも、事前に税務署へ連絡し、延期や時間変更を相談する方がリスクは低くなります。

帳簿確認は経理責任者や税理士でも対応可能

帳簿の確認や伝票のチェックに関しては、経理担当者や顧問税理士が対応可能です。これらの業務は、日常的に関与しているスタッフが詳細を把握しており、調査官の質問にもスムーズに答えることができます。

業務内容対応者社長の関与必要性
帳簿チェック税理士・経理責任者不要
領収書・請求書の整合確認経理スタッフ・税理士不要
資産台帳の確認税理士・経理責任者不要

このタイミングでは社長が不在でも問題になるケースは少なく、調査の進行に大きな支障はありません。

社長が概況聴取のみ同席するための事前準備

社長がどうしても長時間会社に滞在できない場合でも、税務調査の1日目午前中に行われる概況聴取だけは同席したいというケースは多いです。そのような状況でも調査が円滑に進むよう、事前に準備を整えておくことが重要です。

ここでは、限られた時間内で社長が的確に対応できるようにするための具体的な準備ポイントを紹介します。

外出中でも連絡が取れるようにしておく

調査官とのやり取りは、想定外の質問や確認が発生することがあります。したがって、社長が外出した後も迅速に連絡が取れる体制を整えることが重要です。

【連絡体制の準備ポイント】

  • スマートフォンを常に携帯し、通話可能な状態にしておく
  • 経理責任者や税理士とLINEやチャットツールでつながっておく
  • 社長しか答えられない質問が来た場合、すぐに折り返せるよう段取りを取っておく

このように、リアルタイムで補足対応できる状態を整えておくことで、社長不在中も調査が滞らず進行します。

調査で確認されそうな内容や対応方法を経理責任者や税理士と事前に共有する

社長が外出する場合、現場対応を担う経理責任者や税理士に対して、事前に詳細な情報共有をしておくことが不可欠です。とくに、社長の判断や説明が求められる可能性のある項目については、内容と方針を明確に伝えておく必要があります。

【事前共有しておくべき情報例】

  • 税務署から事前通知された調査内容や留意点
  • 最近の取引内容や仕訳で不明点がありそうな箇所
  • 使途不明金や仮払金などの扱いについての方針
  • 社長が答えるべき質問の想定とその回答方針

このような情報を事前に共有しておくことで、調査中に現場担当者が自信を持って対応できる体制が整います。また、税理士との間でも役割分担を明確にしておくと、調査がよりスムーズに進行します。

税務調査で社長不在に関するよくある質問(FAQ)

税務調査における「社長不在」は、多くの中小企業経営者にとって不安の種です。ここでは、実際によく寄せられる疑問について、実務に即した形で分かりやすく回答していきます。急な対応を求められることが多い場面だからこそ、事前に知っておくことで安心感が得られます。

社長が終日不在でも税務調査は可能ですか?

はい、調査自体は可能です。

税務調査の対象はあくまで法人であり、社長個人ではありません。したがって、経理責任者や税理士がしっかり対応できる体制であれば、社長が終日不在でも調査は実施されます

ただし、概況聴取に対応できる人物がいない場合、調査官から延期や日程変更を打診されることもあります。「概況聴取に社長が出席していない」こと自体が調査の印象を左右するため、初日の午前中は可能な限り同席するのが望ましいです。

初日午前中のみの同席でも問題ないですか?

原則として問題ありません。

1日目午前中の「概況聴取」さえ終われば、午後以降の帳簿調査は経理担当者や税理士に任せることができます。したがって、社長が午前中にしっかりと受け答えを行い、午後は外出するという対応は実務上よくあるパターンです。

調査官もその点を理解しており、スムーズな進行を前提にすれば、途中退席は問題視されません。ただし、調査官と事前に「午後は外出予定です」と伝えておくことがマナーです。

代表取締役以外の役員でも概況聴取に対応できますか?

基本的には難しいです。

概況聴取では、経営判断の根拠や事業方針に関する説明が求められるため、代表取締役である社長が最も適切な対応者です。取締役や部長などが代わりに対応する場合でも、調査官がその説明に納得できないと、後日改めて社長の出席を求められる可能性があります

万が一社長がどうしても不在となる場合は、代行者に必要な情報を事前に共有し、税務署にも代理対応の旨を正式に伝えておくことが重要です。

「予定がある」と言って外出するのは虚偽答弁になりますか?

いいえ、虚偽答弁には該当しませんが、伝え方に注意が必要です。

社長が他の重要業務や予定で外出しなければならない場合、それを正直に伝えること自体は問題ありません。ただし、「外出」としか言わずに詳細を伏せると、調査官によっては不信感を抱く可能性があります。

【信頼を得る伝え方の例】

  • 「午後から〇〇との契約面談があるため不在にします」
  • 「本社移転の件で取引先と打合せがある予定です」

あいまいな理由ではなく、ある程度具体的に伝えることが誠意ある対応といえます。

まとめ:社長は初日午前中の概況聴取だけ同席すれば十分

税務調査において、社長の同席が法的に義務づけられているわけではありません。しかし、実務上の運用としては、初日午前中に実施される「概況聴取」には必ず社長が立ち会うことが重要です。

この時間帯に、調査官は会社の事業内容や経営方針、今後の展望などについて、直接ヒアリングを行います。ここでの受け答えが、その後の調査の進行や印象に大きく影響します。

午後以降や2日目以降の帳簿や書類確認については、経理責任者や税理士が対応すれば問題ありません。社長が出張や他の業務で外出することも可能ですが、急な不在に備えて事前の情報共有や連絡体制の整備が欠かせません。

調査最終日の講評にも再び社長の出席が望ましいため、スケジュール調整をしておくことをおすすめします。

税務調査は正しく理解し、適切に準備すれば過度に恐れる必要はありません。自社対応で不安がある場合は、専門家の力を借りることも有効な選択肢です。

税務調査への不安を抱えている方は、税務調査対応に特化した専門家のサポートを受けることを検討してみてください。

税理士法人 GNsでは、豊富な実績と実務経験をもとに、税務調査の事前準備から現場対応、講評後の対応までをトータルでサポートしています。初めての調査で不安な方や、社長不在に備えた体制を整えたい方は、ぜひ相談してください。